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    中国/外国知財情報

  • 【意匠】ハーグ協定に加盟 2022年6月更新
  • 2022年2月5日、中国がハーグ協定に加盟した。中国政府は、2022年2月5日に、ハーグ協定の1999年ジュネーブ改正協定への加入書を寄託し、中国は1999年ジュネーブ改正協定の68番目の締約国となり、ハーグ協定の77番目の締約国となった。これにより、中国におけるジュネーブ改正協定加入の効力発生日(2022年5月5日)より、ハーグ協定に基づく国際意匠出願において中国を指定することが可能となった。

  • 【特許・意匠】専利法改正について 2021年4月更新
  • 1.概要
    2020年10月17日に、専利法第4回改正案が全国人民代表大会常務委員会を通過した。改正専利法は、2021年6月1日から施行される。

    2.改訂の内容
    本改正の主な内容は、以下の通りである。
    (1)部分意匠制度の導入
    現行法では、物品の全体の形状、模様及びこれらの組み合わせ又は形状、模様、色彩の組み合わせを保護対象としていたが、今回の改正にて物品の局部の形状、模様及びこれらの組み合わせ又は物品の曲部の形状、模様、色彩の組み合わせが保護対象に追加された(2条4項)。
    部分意匠の出願を選択肢に加えることで、出願人のニーズに合った形態で、意匠の保護が可能となる。

    (2)意匠の国内優先権制度の導入
    現行法では、特許、実用新案につき、日本と同様に国内優先権制度が存在していたが、今回の改正により特許、実用新案に加え、意匠の国内優先権制度が追加された(29条2項)。なお、意匠の国内優先権期間は、パリ優先権と同様に、中国での最初の出願日から6月以内である。

    (3)意匠権の存続期間の変更
    現行法では、意匠権の存続期間は、TRIPS協定の最低基準に規定される10年(出願日から起算)であったが、今回の改正により意匠権の存続期間は、15年に引き上げられた(42条1項)。

    (4)審査遅延による特許権の存続期間の延長制度の導入
    現行法では、特許権の存続期間の延長に関する条文がなかったが、今回の改正により審査遅延による特許権の存続期間の侵食部分が補填されるようになった(42条2項)。
    これは、日本における改正特許法第67条2項、3項の内容に類似するものである。

    (5)医薬特許権の存続期間の延長制度の導入
    現行法では、医薬特許権の存続期間の延長に関する条文がなかったが、今回の改正により医薬の販売認可に時間が取られる場合、5年を限度に認可時間が補填されるようになった(42条3項)。
    これは、日本における医薬の特許権の存続期間の延長制度に類似する制度である。

  • 【特許・意匠】特許審査指南の改訂について 2019年11月更新
  • 1.概要
    国家知識産権局は、特許審査指南を改定すると決定した。改訂された特許審査指南は、2019年11月1日から施行する。

    2.改訂の内容
    以下、主な改訂内容を記載する。

    (1)GUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)に係る製品意匠
    GUIに係る製品意匠について、以下の規定が明文化された。
    (a)製品の名称
    ・GUIを含む製品意匠の名称は、GUIの主な用途及びこれを適用する製品を明示し、通常「GUI」というキーワードを含み、動的GUIの製品名称では「動的」というキーワードを含む必要がある。
    (b)図面又は写真
    ・創作要素がGUIのみにある場合、当該GUIを含む画面表示パネルの正投影図を少なくとも1枚提出しなければならない。
    ・GUIが動的態様である場合、少なくとも1つの状態でのGUIに係る面の正投影図を正面図として提出しなければならず、それ以外の状態については、GUIのキーフレームの図面のみを変化状態図として提出すればよい。また、変化状態図に名付ける際に、動的変化過程の順序に従って名付ける必要がある。
    ・投影装置を操作するためのGUIの場合、GUIの図面に加えて、投影装置を明示する図面も少なくとも1枚提出しなければならない。
    (c)簡単な説明
    ・GUIを含む製品意匠について、簡単な説明にてGUIの用途を、製品の名称に反映される用途に対応するように明確に説明しなければならない。当該GUIを含む画面表示パネルの正投影図のみ提出した場合、当該GUI画面表示パネルを適用する最終製品を網羅的に枚挙する必要がある。

    (2)進歩性判断について
    進歩性の判断について、以下の規定が明文化された。
    (a)相違点たる構成がクレーム発明において達成できる技術的効果から、発明の実質上解決する課題を判断する。
    (b)機能的に支え合い、相互作用関係を有する構成については、クレーム発明におけるこのような構成及びそれらの関係によって得られる技術的効果を全体的に考慮しなければならない。

    (3)遅延審査について
    遅延審査について、以下の規定が明文化された。
    (a)出願人は、発明特許出願及び意匠出願に対して遅延審査請求を行うことができる。
    (b)特許出願の遅延審査請求は、審査請求と同時に行わなければならない。意匠出願の遅延審査請求は、意匠出願と同時に行わなければならない。
    (c)請求できる遅延期間は、1年、2年、又は3年である。

  • 【特許・意匠】訴訟における裁判管轄に関する変更 2019年1月更新
  • 1.概要
    全国人民代表大会常務委員会において、「専利等の知的財産事件の訴訟手続に関する若干の問題にかかる決定」が可決された。これにより、特許等の特定の知的財産事件(※)においては、最終審(二審)が最高裁に集約される。本決定は、2019年1月1日に施行される。

    2.従前の運用
    従前では、原則として、一審は各地の中級裁判所が担当し、最終審である二審は各地の高級裁判所が担当していた。

    3.変更内容
    変更後は、特定の知財事件については、二審(最終審)が最高裁判所に集約される。これにより、従前の制度下において懸念されていた判断のばらつきの問題の解消が期待される。

    ※発明専利(特許)、実用新案、植物新品種、集積回路配置設計、技術秘密、コンピュータソフトウェア、私的独占等に関する民事事件、行政事件(商標や著作権等に関する事件は含まれない)

  • 【特許】特許権侵害判定ガイドライン(2017年改訂版)について 2017年9月更新
  • 特許権侵害判定ガイドラインは、主に以下の6項目について規定している。具体的には、請求項の解釈原則、対象、方法、及び侵害判定基準、侵害行為の認定と抗弁などについて規定している。

    1.特許権又は実用新案権の保護範囲確定
    2.特許権又は実用新案権の権利侵害判定
    3.意匠権の保護範囲確定
    4.意匠権の権利侵害判定
    5.侵害行為の認定
    6.特許権侵害抗弁

    今回の改訂版には、標準特許、GUIなどに関する規定が新設された。改訂の主な内容は、以下のとおりである。

    ・請求項の解釈原則と方法について、発明の目的に符合した解釈原則と請求項の区別解釈方法を新たに追加。
    ・機能的限定特徴の解釈及び権利侵害判定規則を規定。
    ・意匠審理規則と共同侵害行為について細分化。
    ・GUI意匠や標準特許などに対する規則の明確化。
    ・コンピュータソフトウエア特許、通信特許において、特許権の保護範囲を拡大。
    ・間接侵害(共同侵害)に相当する侵害行為をより有効的に規制するように変更。
    ・特許権の悪意獲得のパターンを明確にして、特許権乱用行為に対する抗弁についてのガイドラインを提供。

    詳細は下記のリンク先を参照。
    北京市高級裁判所《特許権侵害判定指南》修訂(2017)日本語版

  • 【商標】2017年1月4日施行の改訂審査基準及び改訂審理基準について 2017年9月更新
  • 1.概要
    新たな規定が追加された商標審査基準及び商標審理基準が2017年1月4日より施行されている。

    2.追加された規定
    (1)審査基準の追加規定
      ・音声商標の審査について
      ・商標代理機構の出願の審査について
      ・商標法50条(取り消し等の後の出願について)の適用について
      ・審査意見書の適用について
    (2)審理基準の追加規定
      ・他人が既に使用する商標を特定関係人が先取り登録した商標の審理基準
      ・利害関係人の認定について
    詳細は下記のファイルを参照。

    【参考】
    中国の商標審査基準/審理基準改訂2017年1月施行の詳細

  • 【特許】専利審査指南(審査基準)の改正について(2017年4月1日施行) 2017年5月更新
  • 改正の主な事項は以下のとおりです。

    ◆ ビジネスモデル特許の保護の明確化
    ビジネスモデルに係る請求項が保護対象となることを明確にするために、以下の文言が追加された。
    「【例えば】ビジネスモデルに係る請求項には、ビジネス規則と方法の内容以外に技術特徴も含む場合、専利法25条に基づいたうえで、その専利権を取得する可能性を排除してはならない。」
    この規定によれば、単なる方法そのものは保護対象とはならないものの、請求項の中に技術的特徴が含まれていれば、保護対象として認められると思われる。

    ◆ プログラムに対する取扱いの明確化
    新たに「コンピュータプログラムそのもの」は、保護の適格性を有していないこと、及び、「コンピュータプログラム発明」(例えば、構成要素として、ハードウェア及びプログラムを含むもの)は、保護の適格性を有していることが明文化された。

    ◆ 無効審判中の訂正態様の追加
    従来、無効審判継続中の請求項の訂正の目的は、「請求項の削除」、「請求項の合併」、及び「技術方案の削除※」の3つであった。
    今回の改正により、訂正の目的は、「請求項の削除」、「請求項の更なる限定」、「明らかな誤りの訂正」、及び「技術方案の削除」の4つに改正された。
    「請求項の更なる限定」は、「他の請求項中に記載された一又は複数の技術特徴を補充し、保護範囲を縮小すること」と規定されている。つまり、従来は、他の請求項の構成全てを追加(請求項の合併)しかできなかったのに対し、他の請求項の構成の一部を用いて限定できるようになった。ただし、明細書中に記載された技術特徴を用いて限定することは、従来と同様に認められていない。
    ※例えば、マーカッシュ形式のクレームにおいて、選択肢の一部を削除する訂正

    ◆ 無効理由の追加要件の変更
    中国では、無効審判の請求後、1か月以内であれば、無効理由を追加できる規定がある。
    上記訂正の目的の改正に伴い、無効理由の追加の要件として以下の規定が追加された。
    「専利権者が削除以外の手法で訂正した請求項に対して、専利復審委員会により指定された期間内に訂正内容に対して無効理由を追加し、かつこの期間内に追加の無効理由を具体的に説明した場合」