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    日本/外国知財情報

  • 【特許】特許法等の改正について 2023年6月更新
  • 1. 概要
    2023年4月1日に、特許法等の一部を改正する法律が施行されると共に、分割出願に関する審査の運用について変更があった。

    2.改訂の内容
    (1)特許権等の権利回復の要件の変更
    手続期間徒過により消滅した特許権等の回復の要件が、「正当な理由」がある場合から、「故意ではない」場合へと緩和された。これに伴い、権利回復には回復手数料の納付が必要となった。
    (2)特許協力条約に基づく国際出願に係る優先権の回復制度の要件の変更
    手続期間徒過により消滅した特許権等の回復の要件が「故意ではない」場合に緩和されたことに伴い、特許協力条約に基づく国際出願に係る優先権の回復制度の要件についても「故意ではない」場合に緩和された。
    (3)国際商標登録出願に係る登録査定の謄本の送達方法の見直し
    国際商標登録出願の登録査定について、WIPO国際事務局を経由して海外の出願人に電子的に通知することにより、当該査定の謄本の送達に代えることができるようになった。
    (4)原出願が審判係属中の分割出願に対する審査中止
    分割出願のうち、原出願の拒絶査定後、拒絶査定不服審判請求にあわせて出願されたものについては、原出願の前置審査又は審判の結果が判明するまで当該分割出願の審査を中止する運用が開始された。
     (a)対象出願
     対象となる出願は、以下の3要件をすべて満たす特許出願である。
     ・原出願の拒絶査定後に分割された分割出願であること
     ・原出願について拒絶査定不服審判請求がされており、原出願が前置審査又は拒絶査定不服審判に係属中であること
     ・原出願の前置審査又は審判の結果を待つことが便宜であるもの
     (b)手続き
     本運用を適用するには、以下の手続きが必要となる。
     ・対象となる分割出願について、特許法第54条第1項の適用について事情を説明する旨の上申書を提出
     ・対象となる分割出願について、特許法第54条第1項の適用について事情を説明する旨を専用のフォームより送信

    [参考・出典]
    特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令
    特許権等の権利回復の要件の変更
    国際商標登録出願に係る登録査定の謄本の送達方法の見直し
    原出願が審判係属中の分割出願に対する審査中止

  • 【特許】マルチマルチクレームの制限 2022年6月更新
  • 1. 概要
    2022年4月1日に、特許法施行規則及び実用新案法施行規則の一部を改正する省令が施行された。施行後の特許出願及び実用新案登録出願においては、請求の範囲に、いわゆるマルチマルチクレーム(※)を含むことが認められなくなった。

    ※マルチマルチクレーム:他の二以上の請求項の記載を択一的に引用する請求項(マルチクレーム)を引用する、他の二以上の請求項の記載を択一的に引用する請求項

    2.改訂内容
    施行日以降に出願された特許出願及び実用新案登録出願において、請求の範囲にマルチマルチクレームが含まれている場合、特許法第36条第6項第4号(委任省令要件)又は実用新案法第6条の2の規定に違反するものとなる。
    特許出願において、マルチマルチクレーム及びこれを引用する請求項については、マルチマルチクレームに係る委任省令要件以外の要件は、審査されない。
    マルチマルチクレームに係る委任省令要件違反の拒絶理由通知への応答で、マルチマルチクレームを解消する補正がされ、審査をすることが必要になった結果、通知することが必要になった拒絶理由のみを通知する場合には、最後の拒絶理由が通知される。
    なお、出願日が施行日前に遡及する分割出願及び国際出願日が施行日前であるPCT出願が施行日後に日本に国内移行された場合には、本規定は適用されない。
    一方、優先日が施行日前であっても、出願日が施行日後となる優先権主張を伴った出願に対しては、本規定が適用される。
    また、PCT出願の国際段階については、従前のとおり、マルチマルチクレームについても国際調査・国際予備審査の対象となる。

    [参考・出典]日本国特許庁ホームページ

  • 【手続】特許庁手続きの印鑑見直しについて 2020年12月更新
  • 2020年12月28日より、特許庁への提出書類の中で押印が求められていたものの一部について、押印が不要となった。
    特に、実務上、影響があるものとして、委任状(代理権を証明する書面)や新規性喪失の例外手続きの証明書面(特許法第30条第3項)において、出願人の押印が省略可能となった。

    詳しくは、以下の特許庁ホームページをご参照下さい。
    特許庁関係手続における押印の見直しについて

  • 【意匠】意匠法改正について 2020年7月更新
  • 1. 概要
    2019年5月17日に公布された意匠法の一部を改正する法律が、2020年4月1日に施行されました。

    2.改訂内容
    主な改正内容は、以下のとおりです。
    なお、(1)及び(2)については、別紙において詳細な説明をしておりますので、そちらもご確認ください。
    (1)保護対象の拡充
    物品に記録・表示されていない画像、建築物の外観・内装が、新たに意匠法の保護対象として規定されました。
    (2)関連意匠制度の規定の変更
     (a)関連意匠の出願可能期間が、本意匠の出願日から10年以内まで延長されました。
     (b)関連意匠にのみ類似する意匠の登録が認められます。
     詳細は、別紙をご確認ください。
    (3)意匠権の存続期間の変更
     意匠権の存続期間が、意匠登録出願日から25年に変更されます。
    (4)意匠登録出願手続の簡素化
     (a)複数の意匠の一括出願制度が導入されます。
     (b)物品の区分が廃止されます。
    (5)間接侵害規定の拡充
     「その物品等がその意匠の実施に用いられることを知っていること」等の主観的要素を規定することにより、取り締まりを回避する目的で侵害品を構成部品に分割して製造・輸入等する行為を取り締まれるようになりました。

    3.弊所コメント
    今回の法改正によって、意匠制度の利便性が大きく向上したといえます。特に、画像意匠の規定と関連意匠制度の変更は、企業の知財戦略に及ぼす影響が大きく、新たな制度を巧く活用できるか否かによって競争優位性に差が生じるものと思われます。

    各改正内容の詳細は、別紙の令和元年意匠法改正(詳細版)をご参照下さい。

  • 【特許】特許法改正について(速報版) 2019年6月更新
  • 1. 概要
    2019年5月17日に、特許法の一部を改正する法律が公布された。この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日に施行される。

    2.改訂内容
    (1)中立な技術専門家が現地調査を行う制度(査証)の創設
    特許権の侵害の可能性がある場合、中立な技術専門家が、被疑侵害者の工場等に立ち入り、特許権の侵害立証に必要な調査を行い、裁判所に報告書を提出する制度が創設される。
    (2)損害賠償額算定方法の見直し
     a)侵害者が得た利益のうち、特許権者の生産能力等を超えるとして賠償が否定されていた部分について、侵害者にライセンスしたとみなして、損害賠償を請求できることとなる。
     b)ライセンス料相当額による損害賠償額の算定に当たり、特許権侵害があったことを前提として交渉した場合に決まるであろう額を考慮できる旨が規定される。

    なお、(2)については実用新案法、意匠法及び商標法において同旨の改正が実施される。

    [参考・出典]: 日本国特許庁ホームページ

  • 【商標】商標法改正について(速報版) 2019年6月更新
  • 1. 概要
    2019年5月17日に、商標法の一部を改正する法律が公布された。この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日に施行される。

    2.改訂内容
    公益団体等(自治体、大学等)が自身を表示する著名な商標権のライセンスを認める等の措置が講じられる。

    [参考・出典]: 日本国特許庁ホームページ

  • 【意匠】意匠法改正について(速報版) 2019年6月更新
  • 1. 概要
    2019年5月17日に、意匠法の一部を改正する法律が公布された。この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日に施行される。

    2.改訂内容
    (1)保護対象の拡充
    物品に記録・表示されていない画像、建築物の外観・内装デザインが、新たに意匠法の保護対象として規定される。
    (2)関連意匠制度の規定の変更
     a)関連意匠の出願可能期間が、本意匠の出願日から10年以内まで延長される。
     b)関連意匠にのみ類似する意匠の登録が認められる。
    (3)意匠権の存続期間の変更
    意匠権の存続期間が、意匠登録出願日から25年に変更される。
    (4)意匠登録出願手続の簡素化
     a)複数の意匠の一括出願制度の導入
     b)物品の区分が廃止される。
    (5)間接侵害規定の拡充
     「その物品等がその意匠の実施に用いられることを知っていること」等の主観的要素を規定することにより、取り締まりを回避する目的で侵害品を構成部品に分割して製造・輸入等する行為を取り締まれるようにする。

    [参考・出典]: 日本国特許庁ホームページ

  • 【意匠】審査基準の改訂(2018年5月1日以降の審査に適用) 2018年11月更新
  • 1. 概要
    意匠審査基準が改訂された。改訂された審査基準は、2018年5月1日以降に審査される出願に対して適用される。

    2.改訂内容
    (1)底面図の記載が不足する出願の願書及び図面の記載の取り扱い
    従来では、大型機械等の重量物にのみ底面図の省略が認められていましたが、以下の要件に該当する場合には、底面図の記載が不足していても意匠が具体的であると認められるようになった。
    [要件]
    以下のa又はbで あって通常は底面を見られることがなく、かつ、底面図 がなくても願書及び図面の記載を総合的に判断すれば、具体的な意匠の内容を導き出すことができる場合
     a)床面や卓上などにおいて使用するもの
     b)車両などの重量物

    (2)意匠登録を受けようとする部分を特定する方法に関する願書の記載
    部分意匠に関する願書の記載に不備があっても、意匠が具体的なものと認められる場合の運用が緩和される。
    「意匠登録を受けようとする部分」を特定するための説明がなくても、図面等の具体的な表現によって、願書及び図面の記載を総合的に判断すれば、部分意匠として「意匠登録を受けようとする部分」が明らかである場合は、当該意匠が具体的であるものと認められる。

    [参考・出典]: https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/isyou-shinsa_kijun.htm

  • 【特許・実案・意匠】新規性喪失の例外の改正(2018年6月9日施行) 2018年8月更新
  • 1. 概要
    2018年5月23日付で特許法及び意匠法が改正され、特許出願、実用新案登録出願、意匠登録出願における新規性喪失の例外期間が6か月から1年に延長されました。本改正に係る規定は、2018年6月9日に施行されます。

    2.改正後の新規性喪失の例外の適用に関する注意点
    本改正の規定は、施行日である2018年6月9日以降に出願される特許出願、実用新案登録出願、意匠登録出願に適用されます。ただし、下図に示すように、2017年12月8日までに公開された発明等については、改正後の規定は適用されません。つまり、施行日以降の出願であって、2017年12月9日以降に公開された発明等に係る出願に対して、改正後の規定が適用されます。

    改正後の新規性喪失の例外の適用に関する注意点
    参考:https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/hatumei_reigai_encho.htm
       https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/ishou_reigai_encho.htm

    3. 諸外国との比較
    主要国における新規性喪失の例外規定を以下に示します。

    【日本】
    猶予期間
    :1年
    起算日
    :出願日
    対象となる公開態様
    :出願人等の意に反する公開
     出願人等による公開(公開態様を問わない)
     (例外)特許出願等に起因する公報による公開

    【米国】
    猶予期間
    :1年
    起算日
    :有効出願日(出願日又は優先日)
    対象となる公開態様
    :制限なし

    【欧州】
    猶予期間
    :6月
    起算日
    :出願日
    対象となる公開態様
    :出願人等の意に反する公開
     出願人等による国際博覧会への出品

    【中国】
    猶予期間
    :6月
    起算日
    :出願日又は優先日
    対象となる公開態様
    :出願人等の意に反する公開
     出願人等による国際博覧会への出品
     出願人等による規定の学会での発表

    【韓国】
    猶予期間
    :1年
    起算日
    :出願日
    対象となる公開態様
    :出願人等の意に反する公開
     出願人等による公開(公開態様を問わない)